主張
アフリカの平和構築
日本らしい国際貢献をさらに
2019/09/02 2面
平和の定着、国造り――平和構築を言い表す言葉としてよく使われ、未来に向かって進もうとする息吹までもが伝わってくる。
日本はこのほど横浜市で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、アフリカ諸国が自主的に取り組んでいる、アフリカ北東部における平和構築への支援を約束した。
援助が必要な国の自主性を尊重し、パートナーシップ(支援)を発揮する形の日本の平和構築は「お家芸」とも言われている。アフリカの未来を開く支援を期待したい。
回復したばかりの脆弱な平和を定着させるためには、何よりも社会の安定が必要だ。貧困が放置され、公共施設の荒廃によって医療や教育が行き届かないような状況の中では、武力紛争の芽を摘むことはできない。
支援の内容について安倍晋三首相は「質の高いインフラ(社会基盤)による広域開発支援を力強く進める」と表明した。
具体的には、「アフリカの角」とその周辺地域にある港湾と内陸部を結び、経済成長の成果を地域全体に行き渡らせる。また、南スーダンのナイル川架橋の建設や、ジブチとエチオピアをつなぐ道路の改修も進める。
「アフリカの角」が位置するアフリカ北東部は、古来からアジアとアフリカ、中東、欧州をつなぐ地域であり、現在も国際物流にとって重要な役割を果たしている。
しかし、「アフリカの角」の先端にあるソマリアの政情は20年以上も不安定であり、ソマリア沖・アデン湾では海賊事件が絶えない。
自衛隊も含め各国が海賊対処の艦艇を派遣して以降、発生件数は低くなったが、根絶はできていない。海賊の原因として貧困や若者の就職難にあえぐソマリアの窮状が挙げられており、ソマリアの国造り支援は国際的課題である。同時に、「『アフリカの角』地域全体の平和と安定のカギ」(安倍首相)である南スーダンの平和構築の支援も進める必要がある。
TICAD7で日本は民間投資促進を訴えたが、その成否は地域の安定にかかっている。平和構築でアフリカ開発に貢献していきたい。
(主張)アフリカの平和構築/日本らしい国際貢献をさらに #公明新聞電子版 2019年09月02日付 komei.or.jp/newspaper-app/
投稿者 高橋まさはる : 07:00 | 公明新聞