解説ワイド
第7回アフリカ開発会議
民間投資強力に促す/日本企業の進出で成長を支援
2019/09/04 4面
横浜市で開かれた第7回アフリカ開発会議(メモ)は先週、3日間の日程を終えて閉幕した。今回はアフリカの53カ国、うち42カ国は首脳級が代表として参加。これまでのアフリカへの「援助」重視とは異なり、民間投資の促進が大きな焦点となった。
安倍晋三首相は初日に基調演説を行い、今後3年間で過去3年の実績(200億ドル=約2兆円)を上回る民間投資をめざす考えを表明。日本企業のアフリカ進出を促すため、輸入費用やプロジェクト融資のリスクを貿易保険で10割カバーする仕組みの構築を打ち出した。
また、安倍首相は、エジプト日本科学技術大学などをセンターとして、科学技術イノベーションの未来を担う若者5000人を育てると説明。6年間で3000人の人材の育成をめざすとも訴えた。
日本が今回、投資重視の方針を打ち出したのは、急伸するアフリカへの進出の出遅れが背景にある。
かつては貧困や飢餓、内戦などに苦しんだアフリカだが、21世紀に入り、その様相は大きく変わりつつある。
2050年にはアフリカの人口は25億人に膨らむと見込まれ、世界の4人に1人はアフリカ人となる。しかも、電子決済の急速な普及などアフリカでは新しいビジネスが次々と芽吹き、経済成長が著しい国も目立つ。さらに、天然資源も豊富なため、「最後のフロンティア」であるアフリカを狙って、世界中から企業の進出が続いている。
日本に対するアフリカ経済界の期待は大きい。例えば、アフリカ開発銀行のアデシナ総裁は、日本企業へのアフリカ進出に積極的な姿勢を求めており、エネルギーや医薬品、デジタル産業などの分野で大きなチャンスがあると指摘している。今回の会議で打ち出した方針がどれだけ実を結ぶのかが注目される。
一方、会議では、中国が途上国のインフラ整備に対して過剰な債務負担をもたらすケースがある問題も焦点となった。
安倍首相は2日目の官民ビジネス対話会合で、今後3年間、重点国を毎年10カ国選び、延べ30カ国で公的債務やリスク管理に関する研修を行う支援策を表明した。支援金額など圧倒的な「量」で迫る中国に対し、日本は人材育成や質の高いインフラなどをアピールしたい考えだ。
会議は最終日、アフリカ諸国が抱える過剰債務問題への対処などを柱とする横浜宣言を採択して閉幕した。同宣言では、債務持続可能性の必要性をうたった6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の成果文書について、「G20原則を歓迎する」と明記。日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想に関しては「好意的に留意する」と記した。
その他、安全保障理事会の常任理事国拡大を含む国連の組織改革や、国際法の原則に基づく海洋秩序の維持・強化なども盛り込んだ。次回の会議は、22年にアフリカで開催される。
■山口代表が各国首脳と活発に会談
第7回アフリカ開発会議には、公明党の山口那津男代表が2日目の全体会合に出席し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた公明党の取り組みを報告。神奈川県や横浜市といったSDGsの先進的な取り組みを行う自治体との連携を深め、「官民が一体となってアフリカにおいてもSDGsを実現するべく、全力を尽くす」と訴えた。
また、山口代表は来日した各国首脳らとの会談も活発に行い、ガーナ、リビア、コンゴ民主共和国、レソト、ベナン、トーゴ、エジプトの7カ国の大統領らと人的交流の促進や教育支援の強化を巡って語り合った。
写真キャプションエジプトのシシ大統領(右)と和やかに懇談する山口代表=8月31日 横浜市
投稿者 高橋まさはる : 07:13 | 公明新聞 | - | -
安全へ不断の努力を
シーサイドライン自動運転再開で運営会社訪れ聴取/横浜市で三浦氏ら
2019/09/03 2面
6月の逆走事故後、有人で運転していた横浜市の新交通システム「シーサイドライン」が8月31日に自動運転を再開したことを受け、公明党の三浦信祐参院議員は2日、運営会社の株式会社横浜シーサイドラインを訪れ、三上章彦代表取締役社長から再発防止策について説明を受けた。横浜市議団(竹内康洋団長)が同行した。
事故原因について、三上社長は地上側から進行方向の情報を伝える電線が断線したと説明。再発防止に向け、電線が断線した場合に自動でブレーキがかかるようシステム改修などを行ったとし、「国民が安心して利用できる環境整備に努める」と述べた。今後の取り組みでは、不具合に備え、5日まで保安要員が同乗し、問題がなければ6日から無人運転に戻すと報告した。
三浦氏は「再発防止策の徹底とともに安全運転への不断の努力を」と語った。
安全へ不断の努力を/シーサイドライン自動運転再開で運営会社訪れ聴取/横浜市で三浦氏ら #公明新聞電子版 2019年09月03日付 https://www.komei.or.jp/newspaper-app/
投稿者 高橋まさはる : 05:07 | 公明新聞 | - | -
主張
アフリカの平和構築
日本らしい国際貢献をさらに
2019/09/02 2面
平和の定着、国造り――平和構築を言い表す言葉としてよく使われ、未来に向かって進もうとする息吹までもが伝わってくる。
日本はこのほど横浜市で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、アフリカ諸国が自主的に取り組んでいる、アフリカ北東部における平和構築への支援を約束した。
援助が必要な国の自主性を尊重し、パートナーシップ(支援)を発揮する形の日本の平和構築は「お家芸」とも言われている。アフリカの未来を開く支援を期待したい。
回復したばかりの脆弱な平和を定着させるためには、何よりも社会の安定が必要だ。貧困が放置され、公共施設の荒廃によって医療や教育が行き届かないような状況の中では、武力紛争の芽を摘むことはできない。
支援の内容について安倍晋三首相は「質の高いインフラ(社会基盤)による広域開発支援を力強く進める」と表明した。
具体的には、「アフリカの角」とその周辺地域にある港湾と内陸部を結び、経済成長の成果を地域全体に行き渡らせる。また、南スーダンのナイル川架橋の建設や、ジブチとエチオピアをつなぐ道路の改修も進める。
「アフリカの角」が位置するアフリカ北東部は、古来からアジアとアフリカ、中東、欧州をつなぐ地域であり、現在も国際物流にとって重要な役割を果たしている。
しかし、「アフリカの角」の先端にあるソマリアの政情は20年以上も不安定であり、ソマリア沖・アデン湾では海賊事件が絶えない。
自衛隊も含め各国が海賊対処の艦艇を派遣して以降、発生件数は低くなったが、根絶はできていない。海賊の原因として貧困や若者の就職難にあえぐソマリアの窮状が挙げられており、ソマリアの国造り支援は国際的課題である。同時に、「『アフリカの角』地域全体の平和と安定のカギ」(安倍首相)である南スーダンの平和構築の支援も進める必要がある。
TICAD7で日本は民間投資促進を訴えたが、その成否は地域の安定にかかっている。平和構築でアフリカ開発に貢献していきたい。
(主張)アフリカの平和構築/日本らしい国際貢献をさらに #公明新聞電子版 2019年09月02日付 komei.or.jp/newspaper-app/
投稿者 高橋まさはる : 07:00 | 公明新聞 | - | -