2015年8月17日

平成16年 予算第一特別委員会(平成16年3月15日)

 平成16年 予算第一特別委員会(平成16年3月15日)、衛生局関係(局別審査)、私の原点となった、初予算委員会の会議録です。精神障害者支援(精神障害者の退院促進事業)と小児救急電話相談事業(いいナース)の横浜市独自実施等を初めて提案しました。(下線部分)

◆(高橋[正]委員) まず初めに、鳥インフルエンザの対策についてお伺いいたします。
 我が国で79年ぶりに発生した鳥インフルエンザを初めとする感染症の問題が毎日のように報道され、市民の関心、不安が高まっている状況でございます。そのような状況を踏まえ、我が党といたしましては2月6日に市長に対し高病原性鳥インフルエンザの市民への感染対策に対する申し入れを行い、さらに予算代表質疑において感染症対策に対する基本的な考え方について伺ったところでありますが、そこで、国内での鳥インフルエンザの発生を受け衛生局ではどのような対策を行っているのか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 鳥インフルエンザに関する対策といたしまして、国内での発生が報道されました1月13日より市民からの相談を受け付けておりますが、庁内の危機管理体制といたしまして、総務局、緑政局など7局にわたる鳥インフルエンザ対策連絡会を2月18日に設置いたしまして、連携を密に活動を開始しているところでございます。動物販売店に対する点検といたしましては、鳥類の健康状態の把握のため動物販売店への一斉点検を2月18日から2月26日まで実施いたしました。また、食品関係営業施設に対する点検といたしましては、食鳥処理施設や鳥肉、鶏卵を扱う食肉処理業、大規模弁当製造施設に対しまして、鳥肉、鶏卵などの仕入れや取り扱い状況について一斉点検を2月17日から3月10日まで実施いたしました。市民への情報提供といたしまして、ホームページ、広報よこはまへの記事の掲載、チラシの配布などを現在行っているところでございます。

◆(高橋[正]委員) 今のお話の中にありました相談窓口を設置したということなのですけれども、実際に鳥インフルエンザに関する寄せられた相談件数と内容についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 3月12日まででございますが、市民から寄せられた相談につきましては、一つとしてチャボを飼育しているが大丈夫か、スズメが死んでいるが大丈夫かなど鳥、ペットに関する相談が459件ございました。それから、鳥肉や卵を食べても問題ないかなど食品に関する相談が50件、鳥インフルエンザが発生した地域に旅行をしても大丈夫かなど人の健康に関する相談が14件など、全部で523件の相談がございました。

◆(高橋[正]委員) ここで、最近なのですけれども、東京都の鳥インフルエンザ110番というのが24時間体制でやっておるわけですが、横浜市においては多分役所の開庁時間だと思うのですけれども、東京都がこれだけ京都から離れていてもそういう対応をとっていることに対しての考え方をお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 現時点での鳥インフルエンザ対策といたしましては、市民の不安を解消し風評被害を防止するため適宜必要な情報提供を行うことが最も重要と考えております。したがいまして、今後も引き続き、チラシやホームページなどの本市の広報媒体を活用いたしまして情報提供に全力を挙げていきたいと考えています。また、市内及び周辺地域での鳥インフルエンザの発生といった緊急事態に備えまして、県や庁内関係局区と連携を密にしておりますが、衛生局といたしましては、異常を来している鳥の情報収集、状況の変化に即応できる区役所などでの相談対応の強化、市民病院等を中心といたしました受け入れ医療機関の確保などを重点課題として迅速的確な対応をしてまいりたいと思っております。

◆(高橋[正]委員) 今後とも衛生局は感染症のプロとして、この間も教育委員会で発表がありましたが、学校の先生は、生徒は鳥をさわってはいけないと。それは一つには保護者の不安を払拭するための目的だというふうに伺っておりますけれども、そこに衛生局的な観点をちゃんと入れていかなければ、これから風評がふえていって、いろいろなところで払拭していくところ、そういった意味での衛生局の位置づけがあると思いますけれども、その辺をしっかりお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、市立病院への地方公営企業法全部適用についてお伺いするわけですけれども、昨年6月に示された市立病院の経営改革に関する市当局の方針の中で、市民病院及び脳血管医療センターについては、地方公営企業法の全部適用により公設公営の病院として経営改革を図るとされておるのですけれども、その中で、まず病院事業は平成17年度より地方公営企業法の全部適用を実施するとしていますが、そのねらいについてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 地方公営企業法を全部適用し病院事業管理者を設置することで、人事や予算編成などを含めました病院経営に関する権限と責任の明確化を図り、より機動的で効率的な病院経営のもとで市立病院の抜本的な経営改革に取り組むものでございます。経営改革により、効率的な経営を実現するとともに、政策的医療の提供や地域医療における先導的な役割を担っていくことで地域医療全体の質の向上を図ってまいります。

◆(高橋[正]委員) 市立病院として良質な医療を提供していただくこととともに、地域医療の全体の質の向上にも寄与していくことが大切であると考えるわけですけれども、良質な医療を提供していただくために、その前提としてしっかりとした経営基盤が確立され、そしてまた安定的な病院経営が行われることが非常に大切であると考えます。
 そこで、病院経営改善をより効果的に進めていくためにさまざまな民間手法の導入も考えられますが、病院経営者への民間企業出身者等の活用についての可能性をお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 民間の人材活用という点では、既に前日本医科大学常務理事でございました岩崎榮氏を病院事業管理者として内定をしているところでございます。今後、全部適用に向けましては人事や給与などの問題を含め、運営についてのさまざまな課題に取り組んでいく必要があると考えてございまして、その中で、先生御指摘の民間の経営手法などについても参考にし人材の活用なども視野に入れまして検討を進めてまいりたいと考えております。

◆(高橋[正]委員) 実際に医療の現場に携わっていく方々というのは一人一人の職員の方であるのですけれども、それぞれの方が目的や目標をきちんと理解し、しっかりとした動機づけを病院として行っていくために、そこで職員の士気を高めていくためにも成果主義の導入等が有効であると思います。検討すべきと考えますが、これについていかがでしょうか。

◎(渡辺衛生局長) 経営改革を着実に進めていくためには、職員一人一人が明確な目標を持ちましてそれぞれの業務の中で積極的にその達成に向けて取り組むことが必要であると考えてございます。全部適用に向けまして公営企業として人事制度や給与制度を検討していく際には職員の意欲を高めることができるものとする必要でございますが、その際、成果主義なども一つの要素であると考えてございます。

◆(高橋[正]委員) そうやって病院を運営していく中で、政策的医療であるとか実施状況、市立病院の果たすべき役割、または経営状況などを市民に適切に情報公開していくことが非常に大切なことであると私は考えておりますけれども、そこで、患者や市民に対して積極的に情報公開をする重要性があると考えますが、今後どのように情報公開の拡充を図っていくのか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) カルテなど診療記録の開示はもとより、病院の診療実績、政策的医療の実施状況や安全管理の取り組み状況、経営状況などを公開していくこととしております。また、医師の専門分野など市民が医療機関を受診する際に参考となる情報につきましても積極的に提供していく必要があると考えております。そのために、それぞれの情報をわかりやすい形にまとめるとともに、インターネットなどの情報提供の手段につきましても充実を図り、より多くの市民の方に市立病院のことを知っていただけるよう努めてまいります。

◆(高橋[正]委員) 今後とも市立病院のさまざまな取り組みが地域医療の全体の質の向上につながるように目指していただきたいと考えております。
 次に、精神障害者の支援についてお伺いいたします。
 私は、心の健康について常々今まで関心を抱いてまいりました。その中で、初期救急の医療のように医療への入り口をしっかり整備することが大切であると同時に、入院生活から地域生活へ円滑に戻ることができるような支援が大切であると感じております。特に精神病の入院はその他の診療科に比較して長期にわたることも多く、そしてまた家族の高齢化もかかわってまいり、退院したくてもできないという方がたくさんいらっしゃると聞いておりますが、そこで、横浜市の精神科の病院数及び病床数、そしてその病床数は全国的に見て多いのか少ないのか、また、入院患者のうち5年以上の長期入院をしている方々はどのぐらいいらっしゃるのか、その実態をお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 市内の精神病院につきましては、平成15年6月末で26病院、5,377床となっております。平成14年6月末の人口1万人に対する病床数では全国平均28.1に対しまして横浜市は16.0となっており、病床数は比較して少ないという状況になってございます。
 また、平成15年6月末の入院患者数4,939人のうち5年以上の長期入院患者数は1,670人、33.8%となっております。

◆(高橋[正]委員) 国は、平成11年の調査に基づいての発表では条件が整えば退院できる方々が全国で7万2,000人と推計しておるわけですけれども、横浜市においてはそれを受けてどのぐらいいらっしゃるというふうに推計しているか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) なかなか数の把握は難しいわけでございますが、本市における条件が整えば退院できるという精神障害者の方はおおむね500人から600人程度はいらっしゃるのではないかと考えております。今後とも引き続き実態の把握に努めてまいりたいと思います。

◆(高橋[正]委員) また、どんな方でも入院すると退院期間があって、病院と病院外の生活のギャップというのを強く感じて不安になることがあります。精神病で何年も闘病生活を送って、さあ退院してくださいと言われても、そう簡単にもとどおりの生活が送れるわけではありません。いわば連続した日常生活の中に入院生活という断絶が存在するような意味であると考えるわけですけれども、退院後の療養や社会適応の支援も不十分であれば結局また病状の悪化を招き、ひいては再入院ということが間々あると思いますが、そこで、このような入院中の方々に早期に退院していただき、地域で生活していただくためには地域の条件整備としてどのようなことが重要と考えられるか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 退院いたしました精神障害者の在宅生活を支えていくためには、住居の確保や医療体制の整備などに加えまして区福祉保健センターや生活支援センターなど身近な相談支援体制の確保、ホームヘルパーなど日常生活を支えるサービスの拡充、退院後の自立した生活への移行を支援する生活訓練施設などの社会復帰施設の整備、これらが重要であると考えております。

◆(高橋[正]委員) 今の答弁にありました生活訓練施設の一つに生活支援センターというものがあるわけですけれども、横浜市内には4カ所設置され運営されており、私の地元の緑区でも現在整備が進められているわけですが、先日ある生活支援センターへ私は行ってまいりました。そうしたら随分遠くの区から食事のサービスや行事に参加するために来所している方が多くいらっしゃることを知りました。生活支援センターは主に昼間の生活を支援する大切な施設であると考えますけれども、早期に全区に整備されるように強く要望するところでございます。
 さて、一方で、退院後の生活訓練の側面から見ると生活訓練施設が重要な役割を果たすと考えております。退院の促進のために有効な施設としての生活訓練施設が挙げられておるわけですが、その主な事業内容はどのようなものか、また、平成16年には新たに旭区内で運営を開始することになっていますが、市内の箇所数と定員数についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 生活訓練施設は、長期入院によりまして退院後在宅での生活が困難な人を対象に、入所をしながら対人関係の改善、買い物や金銭管理など生活技術の習得のための訓練や地域作業所等への通所訓練のための助言指導、さらに退所後の生活プランづくりの援助などの事業を行っております。
 平成16年度、新たに1施設が開所することにより3カ所、定員70人となります。

◆(高橋[正]委員) 先ほど、条件が整えば五、六百人の方が退院できるということであったわけですから、70人というのは大変少ないと思います。そこで、今後生活訓練施設をどのように整備を進めていくのか、その方針をお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 今後の精神保健福祉は、従来の入院医療中心から地域生活中心へと施策転換することが求められているわけでございます。生活訓練施設は長期入院患者の退院後の受け皿といたしましての役割を持っており、先ほどお答えしましたとおり、条件が整えば退院可能な方が相当数いらっしゃいますので、退院数の動向や生活訓練施設の運営状況等を見きわめまして今後の整備について検討してまいりたいと思っております。

◆(高橋[正]委員) 長期入院患者が退院をしていけるように、一人でも多くの方が地域で生活できるように支援するための整備を急いでいただきたいと考えます。
 そして、世の中の精神障害に対する誤解に始まる差別感が、これから退院しようとしている人の社会復帰に、頑張ろうとしている人にとって高い壁になっていると感じております。特に精神障害については、障害に対する市民、企業、社会の偏見を除き理解を深めることが重要であると考えますが、局長の認識と今後の対応についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 先生御指摘のとおり、精神障害者に対する社会の偏見や差別などが残念ながら依然として残っておりまして、御本人はもとより、御家族の方々に大きな心痛をもたらしているところでございます。精神疾患はだれでもかかり得る疾患であり、また適切な治療によりまして症状の安定化を図ることが可能な疾患でございます。しかし、こうした認識が十分とは言えず、精神障害者の社会復帰を阻むことが少なくございません。精神障害者に対する無理解や誤った認識を改めるため、今後もさらに積極的に普及啓発活動を行いまして理解の促進を図ってまいりたいと考えております。

◆(高橋[正]委員) そういうわけで、他の障害者に比べてまだまだ不十分な点もあると思いますけれども、より一層の努力をお願いいたします。
 
次に、結核対策についてお伺いいたします。
 結核はその昔、国民病と言われるぐらい発生の多い病気でしたが、治療法の進歩や生活環境の改善といった対策により戦後は患者数が大きく減少し、過去の病気という認識を持っている方も多いと思われます。しかし、最近でも高齢者施設や、また学校で起こって先生がかかって、子供たちへの感染というものが非常に心配になるような大きな不安もございます。そういった意味で、市民生活にも大きな影響を及ぼすことが少なくないという認識でおりますが、全国的にも結核の発生数が再び平成11年に増加したときに当時の厚生省が結核緊急事態宣言を出し、結核は依然として我が国で最も多い感染症の一つであるというふうに言われておりますし、大都市であるがゆえに、横浜でも課題となるというようなことを聞いております。また、今年度から小学校、中学校におけるツベルクリン検査及びBCGが廃止されたり、さらに現在の乳幼児のBCGを直接接種にする旨の結核予防法の改正案が国会で審議中であるというふうに伺っております。
 そこで、本市の状況や対策、今後の方針についてお伺いしてまいりたいと思いますが、まず、前提となる国の結核対策の最近の動向についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) これまでの我が国の結核対策につきましては、小学校一年生全員に対しツベルクリン検査を実施するなど、全国一律の検診、予防接種等の対策を基本に行ってきたところでございます。しかし、現在では患者が大都市で多く発生することや高齢者などに発病が多いことなどから、地域格差や対象による差が顕著になってきております。そこで、国はこのような地域や対象者の特性に焦点を合わせました対策に重点を置いて推進しているところでございます。

◆(高橋[正]委員) それでは、本市における結核の状況についてどのようになっているのか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 本市全体で新たに発生した結核患者数は、平成11年の1,181人をピークに少しずつ減少いたしまして、平成14年には875人となっております。しかし、本市の特徴といたしましては、ホームレス等の結核ハイリスク層からの発生が多く、治療が困難な例も見られること、それから学校や企業、高齢者施設等の集団感染になるおそれのある場所での事例が多いこと、若年層の患者発生が比較的多く発生していることなど大都市特有の傾向を示しておりまして、ハイリスク層の患者支援と社会集団への適切な対応が必要と考えております。

◆(高橋[正]委員) ハイリスク層と集団対応ということですが、本市の結核対策としてどのような取り組みを行っているのでしょうか。

◎(渡辺衛生局長) 本市では、区福祉保健センターでの予防接種や結核検診に加えまして、ハイリスク者対象の結核検診及び結核患者に対しまして、直接服薬確認療法、いわゆるDOTSと言われている療法を実施すること、それから企業や学校、高齢者施設、医療機関などを対象とした結核についての研修会の開催などに重点を置きまして取り組んでいるところでございます。その中でも、全国に先駆け平成12年から取り組んだ横浜市DOTS事業では、対象とした地域の結核患者の発生割合が事業開始前の約半分まで減少し治療完了率も大きく上がるなど高い効果を上げているところでございます。

◆(高橋[正]委員) そういった中での本市の課題は何でしょうか。

◎(渡辺衛生局長) 課題といたしましては、ハイリスク患者や生活が不規則な若年層、高齢者等の中には、病気を発見したものの確実な治療に結びつかない例がふえているということが挙げられます。また、結核と診断されました患者に対しまして周囲が必要以上に反応し、例えば会社をやめざるを得なかった例や患者自身が病気を隠そうとして治療が不十分になる例など、結核に対する理解不足や偏見によって引き起こされる問題も多くなってきております。このため、国の方針にもあるとおり、患者の確実な治療や支援が重要であると考えております。

◆(高橋[正]委員) そういった中での治療支援ということでどのようなことを行っているのでしょうか。

◎(渡辺衛生局長) 支援といたしまして、患者や家族の治療や生活に関する相談につきましては区福祉保健センターの保健師等が訪問を含め対応しております。また、患者が円滑に社会生活に復帰できるよう学校や企業等にも働きかけ、治療が完了するような環境づくりを支援しています。今後は、治療中断の可能性の高い患者に対しまして各区でも服薬確認を行い、治療支援を強化してまいります。

◆(高橋[正]委員) それでは最後に、市民の安全と健康を守るための本市の結核対策に対する局長の基本的な考え方をお伺いしておきます。

◎(渡辺衛生局長) 本市のような大都市では、生活環境などにより結核の発生率が高く、多くの人と接する機会も多いため、いつどこでだれに感染が起こるかわからないという状況がございます。したがいまして、ハイリスク集団の対応を重点的に行うとともに、社会全体が結核に対し偏見をなくし正しい理解を持てるようさらに啓発をしていくことが重要であると考えております。そうすることで、結核とは思わず受診がおくれたり、周囲を気にして十分な治療をしないといった事態を避けることができ、結果的に周囲の人への新たな結核感染を防止することになると考えております。

◆(高橋[正]委員) 今後も引き続き対策を推進していただきたいと思います。
 次に、ことしから国の方で決まりまして都道府県で事業展開していく小児救急電話相談事業について伺います。
 少子化、核家族化に伴い育児経験の乏しい保護者が多くなり、また育児について適切な助言をしてくれる祖父母が身近にいないケースが多く、保護者が夜間の子供の急病に対して大きな不安を抱えているのが現状でございます。
 そこでまず、初期、二次救急における小児の患者数とそのうち軽症者数の割合はどのぐらいか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 平成14年度実績数値でございますが、初期救急医療施設では患者数は7万5,096人、うち軽症者は7万4,240人で98.9%、二次救急医療施設では患者数は1万6,327人、うち軽症者は1万5,272人で93.5%となっております。

◆(高橋[正]委員) そういった中で、実に9割以上の方々が軽症であり、初期救急の医療施設は当然としても、二次救急の医療施設へも数多くの軽症の方が受診している状態だということでございます。本来、お子さんのことを考えれば夜間に病院に行かなくても、自宅で安静にして様子を見て必要であれば翌日受診した方がよいケースも多く含まれていると考えられますが、本来、緊急に受診の必要のないと思われる軽症者までが救急医療機関を多く受診する理由についてどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 子育て経験の少ない保護者の方が多い中、子供の症状の程度の判断が難しいということや身近に相談する相手がいないこと、さらには共働き世帯の増加によりまして診療時間外に受診する傾向が増加していることなどが原因ではないかと考えられます。

◆(高橋[正]委員) 子供の急病に対する不安を少しでも軽減して緊急性の低い患者さんの受診数を減らすことができると思いますけれども、この制度は国も16年度から小児救急医療体制を補完する手段として小児救急電話相談事業を始めることとなったわけでございます。これは、夜間の子供の急病に対してすぐに病院に行った方がいいかどうかなど電話で相談できる体制を全国的に整備しようとするものですけれども、国は都道府県単位で実施することとしておりますが、神奈川県において小児救急電話相談事業が実施された場合、本市ではどのような効果が期待できるか、その辺についてお伺いいたします。

◎(渡辺衛生局長) 神奈川県では17年度から実施する予定だというふうに聞いてございますが、県下全域での対応でございます。本市にとっても本来急いで受診する必要のない方の救急医療機関受診の抑制や育児不安解消に効果があるものと考えております。

◆(高橋[正]委員) この事業は県が事業主体なのですが、合わせて500万人近くになる人口、要は横浜と川崎を合わせるとそういった多くの人口がこの都市部に集中しておるわけですが、県が単独事業として県下全域をカバーできるかどうかといった心配もあるわけです。そういうことを考えたときに、本市としても独自に小児救急電話相談事業に取り組むべきではないかと考えるわけですが、お伺いいたします。


◎(渡辺衛生局長) 本市の小児救急医療体制につきましては、初期から三次まで整備をしてございます。今後、県の動向を見ながら状況に応じまして対応してまいりたいと考えております。

◆(高橋[正]委員) 本市の小児救急の医療体制はいわゆるたらい回しといった状況は回避されておると思います。また、電話相談は、そういった意味での電話相談の緊急性は低いかもしれませんけれども、広島県でのモデル実施の際の満足度調査を見ますと、相談した結果、その晩の救急受診をしなくて済んだという回答は76%、今後も利用したい、また大いに利用したいという回答は実に89%にも上っておるわけです。利用者の満足度の高さがここでわかるわけです。
 そこで、本市全体として小児救急電話相談事業に取り組む必要があると思うが、どのように考えるか、前田副市長にお伺いいたします。

◎(前田副市長) 国によります小児救急電話相談事業の目的は、地域の小児救急医療体制の補強と救急医療機関への受診集中化の緩和でございます。広島県の例を見ましても一定の効果が期待できると思いますが、電話応対する医師の確保などの課題もありますので、県の動向を見ながら対応を検討してまいりたいと考えております。救急医療に関しましては、今年度試験的に福祉保健センターと連携いたしまして保護者への小児疾病への対応の啓発教育活動を始めますので、そのようなこともあわせて実施していきたいと考えております。

◆(高橋[正]委員) 子育ての不安を軽減することは非常に重要なことであります。また、保護者の適切な受診行動によって救急医療機関に本当に治療の必要な患者が受診することになり、医療機関の負担軽減にもつながりますので、そういった意味で本市でも小児救急電話相談事業の効果は期待できると考えます。ぜひ前向きに検討していただきたいと考えます。
 
最後に、シックハウスについてお伺いいたします。
 市民の不安の解消のために、横浜市では平成10年度から一般住宅のシックハウスに対する相談を受け、ホルムアルデヒド等の簡易検査を実施するなど他都市に先駆けて取り組んできた姿勢は評価できると考えます。さて一方、昨年の12月に公共建築物を対象とした室内濃度測定をされました。その結果について発表があり、すべての施設で厚生労働省の指針値を下回っているものの、一部の施設では物質によって指針値に近い値が検出されておりました。これらの結果からどのようなことが考えられるか、お尋ねいたします。

◎(渡辺衛生局長) 今回の結果では、先生御指摘のとおり、一部の施設でホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等の室内濃度につきまして指針値に近い値が検出されたところでございます。この理由といたしましては、これらの物質が建材や内装材のほか机や棚などの什器にも含まれていること、施設の換気が不足していることなどの複合的な要因ではないかと考えられました。今後は、施設管理者による適正な什器の選定や換気の徹底などを図ることが大切であると考えております。

◆(高橋[正]委員) シックハウスの関連法は、学校保健法でありますとか建築物衛生法、建築基準法等の個別法でございます。その上で公共建築物のシックハウス防止対策を総合的に進めていくためには全庁的な取り組みが必要となると考えます。
 そこで、これまでどのような取り組みをされてきたのか、また、その取り組みの成果を今後どう生かすのか、前田副市長にお伺いいたします。

◎(前田副市長) シックハウス対策を全庁的に進めるためには、関係法令が多岐にわたってございまして、共通の認識を持った上で取り組む必要があることから、衛生局、建築局、教育委員会事務局などを中心とした庁内連絡会議を平成14年11月に設置し検討を進めてまいりました。特に教育委員会では子供たちが学習いたします学習施設を持っておりますので非常に熱心に取り組んでまいりました。これらの検討の結果を踏まえて、建設段階から日常管理までの対策を盛り込んだ横浜市公共建築物シックハウス対策ガイドラインを作成いたしましたので、今後は全庁的にこのガイドラインに沿った具体的なシックハウス対策を進めてまいります。

◆(高橋[正]委員) 今、副市長から答弁がございましたガイドラインによって、今後とも本市としてこのシックハウスの対策に適切に取り組んでいただけるよう要望し、私の質問を終わります。

投稿者 高橋まさはる : 03:01 | 会議録


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